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最近思ったこと

雑記

「ここでさよならは言いたくない。ほんとのさよならはもう行ってしまったんだ。ほんとのさよならは、悲しくて、寂しくて、切実な響きを持っているはずだからね。」

自分がくよくよして、感傷的になるときによく思い出してきた、『長いお別れ』の言葉だ。

昨日もまさにこの言葉について考えていた。

 

部活で3年間お世話になったコーチに挨拶に行った。僕がやっているスポーツは一人でやるものではなく、二人で組んでするものだった。しかも異性と。何かと喧嘩したし、しょうもない対立を繰り返した。だが、コーチのいる練習場、まさに3年間が詰まった練習場に入るや否や、それらが全て「過去」の産物となったことに気付き、そして妙なノスタルジーを帯びて脳内を駆け巡った。

 

海を照らす夕陽を見て蘇る記憶が美しいのは、いつかよく聴いた音楽を久々に聴いた時に浮かび上がる情景が美しいのは、それがもう存在しないからなのかもしれない。一度きりの、取り戻されることのない「過去」、時間によって奪われ、損なわれ続ける「現在」を前に、感情などというものは無力なのだ。

 

本当は「さよなら」と言うべきだったと思っていた。コーチと3年間共に練習した女の子に。だが、僕が考えていた「さよなら」は、ただ感傷的で終わったことを受け入れることができていない女々しい「さよなら」だった。

 

本当の「さよなら」はとっくのとうに行ってしまっていた。

 

二人と握手をして終わった。もう二度と会うことがないことを願いながら。